見落とさないで!住宅購入時に土地・建物代の他にかかるお金

住宅ローンの『借りられるお金』と『返せるお金』は違うのページでは、「家を建てたい」と思ったら、まずは適正な住宅購入予算を知ることが重要だとお伝えしました。

適正な住宅購入予算を知った後に、理解しておくべき重要なことがあります。それは、土地と建物の他にもかかる費用が多くあるということです。

普通は建物の価格と土地の価格だけに注目してしまいがちですが、それ以外にもかかる大きいお金があります。

それを理解していないとせっかく算出した住宅購入予算をオーバーしてしまう!なんてことになってしまいます。

そうならない為に、ここで一緒にどのようなお金が必要なのかを見ていきましょう。

銀行に支払う手数料

住宅ローンを組むとなると金利や借入額ばかりに頭が向いてしまいがちですが、住宅ローンとは別に「住宅ローンを組む事でかかるお金」も必要になります。

具体的には、住宅ローン保証料と印紙代、そしてつなぎ融資を使う場合はつなぎ融資に関わる諸費用が必要になります。

住宅ローン保証料

住宅ローンを借りる際には、一般的に連帯保証人をつける代わりに保証会社に住宅ローン保証料を支払います。

これは、万が一契約者がローンを返済できなくなった場合でも、保証会社が代わりに銀行へ支払いを続ける為のお金で、ほとんどの金融機関で保証会社への加入が融資条件となります。

保証料の金額としては、借り入れの2.2%が目安なので3,000万円の借り入れの場合は66万円程かかります。

安くて1.6%位のものもありますが、ローンの併用など特別なパターンですので2%~2.2%と考えてください。

ちなみに山梨中央銀行の場合、保証料は借り入れの2%で、別に融資手数料が44,000円かかります。

3,000万円の借り入れの場合は、保証料と手数料を合わせて644,000円となります。

この保証料は、一括払いと分割払いの2つの支払方法があります。

一括払いの場合は借入れ時に現金で支払いますが、分割払いの場合は金利に上乗せされます。

この保証料は手持ちの現金で支払うことも出来ますが、借入額の中に入れる事も出来ます。

金利に上乗せして支払うと総額が高くなるので、分割で支払うより一括で支払うことをお勧めします。

印紙代

印紙代は契約書を作成する時に国に支払う税金です。

土地や建物の売買契約書と同じように住宅ローンを契約する時にも金銭消費賃貸借契約書などの書類を取り交わしますので、金額に応じた印紙税を支払います。(土地の売買契約や建物工事請負契約には軽減措置が受けられます。)

住宅ローン契約の場合、500万円~1,000万円の場合は1万円。1,000万円超~5,000万円以下の場合は2万円の印紙税がかかります。

つなぎ融資に関わる諸費用

住宅ローンは物件を担保にして契約する為、基本的に完成した物件にのみ融資するローンです。

その為、建売住宅や分譲マンションのように購入時にすでに物件が完成している場合は購入時に住宅ローンを組むことができますが、契約をしてから作られる注文住宅の場合は、物件が完成するまで住宅ローンを組むことが出来ません。

しかし、土地の購入費用や建築にかかる費用等住宅等、住宅が完成する前にまとまった金額を支払う必要があります

これらのお金を自己資金で負担するのが難しい場合に利用できる融資がつなぎ融資です。

このつなぎ融資を利用する為に、手数料と印紙代が必要になります。

手数料は金融機関によって異なりますが、10万円前後です。

この手数料は現金で支払う必要があります。

登記の費用

家を購入する時に切り離せないのが「不動産登記」です。

「不動産登記」はその不動産に関しての物理的状況(所在や面積、建物の構造)や権利関係(誰が持っているのか。住宅ローンの有無や詳細)といった情報を明確にして記録する事で、これらの手続きは土地家屋調査士や司法書士に依頼するのが一般的です。

登記を行ってくれる土地家屋調査士や司法書士の先生には、必要経費と併せた報酬を支払います。

登記費用とは「司法書士に支払う報酬」+「登録免許税」となります。

住宅購入の際の不動産登記には大きく以下の4つがあります。

○建物表題登記(表示登記)

○所有権保存登記

○所有権移転登記

○抵当権設定登記

これらの登記は状況によって必要な登記を行うようになります。

例えば、建物を新築した場合は「建物表題登記」。中古住宅を購入した場合は「所有権移転登記」が必要になります。

また、土地と建物はそれぞれ別に登記登録をしますので、家を建てる土地の状況によっても必要な登記は異なります。

ただし、土地も建物も、取得に対して住宅ローンの借り入れがあるのなら「抵当権設定登記」が必要です。

ここでは、分かりやすくする為に状況別で何の登記費用を払わなければいけないのかと、いくら位になるのかを今からお伝えしていきたいと思います。

購入した土地に注文住宅を建てる場合の登記費用

土地を購入し建物を新築した場合、土地の「所有権移転登記」と建物の「表題登記」「所有権保存登記」が必要です。「抵当権設定登記」も合せると、費用は60万円程です。

家族が所有する土地に注文住宅を建てる場合の登記費用

ご家族の所有する土地や、既に所有している土地に建物を建てるなど、土地の登記は必要ない場合もあります。このような時には建物の「表題登記」と「所有権保存登記」が必要になります。

こちらも「抵当権設定登記」を合わせると、費用は50万円程です。

土地付建物(建売住宅)や中古住宅を購入する場合の登記費用

すでに建物が建っている場合、建物の表題登記や所有権保存登記は不要です。代わりに、建物と土地それぞれの「所有権移転登記」が必要になります。「抵当権設定登記」を合わせると、費用は35万円程です。

抵当権設定登記の費用は、融資金額によって変わります。

火災保険

火災保険料

住宅ローンを借りる場合、ほとんどの場合火災保険の加入が必須となります。

住宅ローンの借入先の金融機関でも火災保険の加入はできますが、自分で最適なものを選んで加入する事もできます。

火災保険料はだいたい年間2~3万円です。

この保険料の幅ですが、1年払いか5年一括払いか等の支払い方法。また、鉄骨や木造・省令準耐火構造等の建物の構造によって割引率が変わってきます。

また、近年の自然災害の増加に伴い保険金支払いが急増し、今年(2022年)の10月には保険料の改定と共に、割安な10年契約の保険が廃止され最長契約期間が5年となる等、火災保険料は今後増加傾向にあります。

地震保険料

地震保険の加入は任意となります。

火災保険では対象外となる「地震・噴火・津波」による被害にも備える為の国で管理する保険で、必ず火災保険とセットで加入します。

加入する場合は建物にもよりますが、大体年間3~5万円です。

火災保険と地震保険と両方加入すると、年間5~8万円ということになります。

その他の費用

その他にも見落としがちな費用もあります。これらは住宅会社によっては見積もりの中に入っているのか?どこに入っているのか?が曖昧な費用ですが、住宅を購入する際には必要な費用となりますので知っておきたい項目です。

水道下水の加入金

新築した家で水道を使うためには、水道加入金を支払いメーターを設置する必要があります。これは、その地域の生活用水を供給している市町村に支払う費用です。また、生活排水については公共の下水道を使用する為に支払う費用があります。

甲府市の場合、上水道の加入金に10万円程かかります。下水は負担金というものを支払うのですが、これは広さで決まります。330円/㎡なので230㎡(70坪)の場合は173,000円となります。

また、公共下水が使用できない地域では浄化槽を設置しなければなりません。

下水ではなく浄化槽の場合は、負担金は不要ですが浄化槽の設置にかかる費用が60万円程必要です。

CATV

山梨では、テレビの地デジ放送を見るためにはCATVに加入しなければなりません。厳密には、NHK2局と民放2局は見られるのですがそれ以外の局の放送を見る為にはCATVの加入が不可欠なのです。(他県からいらっしゃった方にはとても驚かれるのですが、これが山梨県の現状です。)

家を新築した時、そのCATVの加入金が必要になります。加入金は工事費込みで10万円程です。

ちなみに月々の利用料も3,000円程かかりますので、マイホーム購入後の家計予算の中に入れておきましょう。

祭事

住宅建築にあたって、地鎮祭や上棟式のような祭事も切り離せません。

地鎮祭は殆どの方が聞いたことのある儀式だと思いますが、その土地の神様に対して「これからこの土地で建築工事を行い、また占拠させていただきます。」と挨拶をし敷地を清め、工事中の安全と建築物が何事もなく永くその場所に建っていられることを願う儀式です。地鎮祭の費用としては初穂料に3万円程と、お酒や果物などの準備に1万円程の合計4万円程度かかります。

上棟式は今は省略するケースの方が多い儀式です。建物の骨組みが完成したところで、工事が無事に進んでいることとこれから完成に向けての祈願を込めて行います。工事に関わった職人さんやご近所の方を招いてのお祝いのようなもので、盛大になればそれだけ費用もかかりますが、一般的な上棟式の費用としては10万~20万円程です。

住宅購入時に切り離せない!気を付けたい費用

建物費用に入る?入らない?家具家電の購入費用

カーテン・照明・エアコンといった家具家電の費用は、住宅購入と同時に検討する人も多く“見落とす”という事は少ないかもしれませんが、注意が必要です。

なぜなら、住宅会社によって建築費用の見積もりに入っている場合と入っていない場合があるからです。

建物本体に入っている場合は家づくりの打合せの中で好きなカーテンや照明を選ぶようになりますが、ある程度決められたメーカーの中で選ぶようになります。もちろん建物と同時に提案していますのでお任せしても良いのですが、自分達でお店やインターネットで探すことも出来ます。選ぶものによってはコストダウンにも繋がるので時間のある人は自分達で探しても良いかもしれません。

目安として、カーテン・照明・エアコンにそれぞれ30万円。
合計90万円程かかると考えておきましょう。

また、家を建てると同時に家電を揃えようと考えている方もいらっしゃいますが、家電は融資の対象外となりますので注意してください。

自己資金で購入する事になりますので予算の中にいれておきましょう。

予算として取っておきたい外構費用

外構は「住宅会社に頼む」方法と「自分達で業者に頼む」方法の2通りがあります。

●住宅会社に頼んだ場合・・・住む時から完成している。若干高いが安心。

●自分達で頼んだ場合・・・・引っ越してから作り始める。好きなデザインの会社を選べる。

山梨県は車社会ですから、車の所有はひとり一台。一家に2台所有している世帯が殆どです。

車の駐車スペースをどのように仕上げるのか。停車位置をコンクリートで仕上げるだけなのか。カーポートは必要か。

また、隣家との境はどのような状況で、どんな風な壁が必要か。

作る外構によって50万円前後~200万円以上と金額の幅も広くなります。

どのような外構を作るのか、外構と予算も念頭に入れて家づくりをしましょう。

外構費用は融資の対象になりますよ。

予想外の出費になりがちな地盤改良費

甲府では元々沼地の地域も多く、地盤が緩い場所は少なくありません。

また、県内全体的に見ても田んぼの後を宅地にするなど、地盤改良が必要になる場所は多いのが現状です。

土地も建物も予算内で順調に話が進んだと思ったら、突然「地盤改良が必要だ」と言われても困らないように地盤改良費を予算に入れておきましょう。

実際にかかる費用は80万円~120万円の範囲が多いのですが、予算としては100万円程とっておくことをお勧めします。

万が一地盤改良が必要になってもどこかを崩す必要がなくなりますし、地盤改良が不要となった時には外構費用にまわしたり、キッチンや水回りを好きなものにしたり、他に使えるところはたくさんあります。

まとめ

このように、土地・建物の他にあらゆる諸費用がかかります。

説明した「銀行」「登記」「保険」「その他」の費用として200万円程みておきましょう。

更にそれとは別に「家具家電」「外構」「地盤改良」のお金を予備費として150万円程とっておくのが理想です。

よく≪建物費用2,600万円≫という事で≪土地代1,000万円と合わせて3,600万円だな≫と考えながら住宅会社と打ち合わせを始め、いざ建築となると結局総額は4,000万円!!

というような話も聞きますが、これは珍しいことではありません。

その住宅会社のいう「建物費用」には上で説明した諸費用が含まれておらず結果的に総額が多くなってしまうのです。

住宅会社が提示する「建物価格」や「諸費用」の「どこにどの項目が入っているのか」は会社によってバラバラです。

これらの表示には決まりや規制がないので、会社毎に違うのです。

しかし、これらの費用がかかるという事を知っていれば困ることはありません。

知っていれば、住宅会社と話をする時に「〇〇代はこの中に含まれていますか?」「〇〇の費用が必要だと思いますが、それはどこに書いてありますか?」と聞くことができます。

知らなくて予想外の出費に慌ててしまうより、家づくりにかかる費用を知った上で適正な住宅購入予算を出しましょう。

住宅会社の見積もりの中にはどんな項目が入っているのか確認しましょう。
「かかる費用」を知っているだけで、「予定外の出費」を防げます。